あなたの「困った」を「相談してよかった」に変える行政書士・相続コンサルタントのなかしま美春です。
全33回のコラム、第12回をお届けします。
この連続コラムでは、「相続でトラブルになりやすいこと」、そして「今できること」について、わかりやすくお伝えしていきます。最後に、関連する動画へのリンクがありますので、ぜひ併せてご活用ください。
このコラムが、相続について考える小さなきっかけとなり、
そして「家族で話す」「書き残す」という第一歩につながることを願って――
ぜひ最後までお付き合いください。
(全33回の一覧は>>こちら)
【連続❢相続コラム】【連続❢相続コラム】第12回:相続人に「障がい」のある方がいる

写真はイメージです
「障がいのあるわが子が、私たちがいなくなったあとも安心して暮らせるだろうか」
「長男に障がいがあるけれど、長女には自分の人生をのびのび生きられるようにしてあげたい」
私は、笑顔相続を広げるための勉強会を定期的に開催しています。
その中で「障がいのあるお子さんの親亡きあと」をテーマにすることもあります。
相続人の中に障がいのあるお子さんがいらっしゃる場合、相続の場面で思わぬ手続きや費用が必要になることがあるからです。
そこで今回は、少しでも安心できる相続にするために、ぜひ知っておいていただきたいことを、分かりやすく解説していきます。
遺産分割協議と「成年後見人」
誰かが亡くなり相続が始まると、相続人全員で遺産の分け方を話し合う必要があります。
この話し合いのことを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」と言います。
遺産分割協議に参加ができる条件として、その相続人の方が、判断能力を持ち合わせていること、があります。
そのため、次のような場合には、その相続人の方は、遺産分割協議に参加することができません。
✅重度の知的障がいがあり、契約や財産管理の内容を理解できない方
✅精神疾患などで意思判断ができない状態の方
✅意識障害などで意思表示ができない方
✅認知症などで判断力がひどく低下している方
つまり「障がいがある」というだけで全員が対象になるわけではありません。
知的障がいや精神障がいがあっても、遺産分割協議の内容を理解し、自分の意思をはっきりと示せる場合は、遺産分割協議に参加することができます。
逆に、障がいがない場合でも、病気や事故などで判断能力を失ってしまった方は、遺産分割協議に参加できません。
相続人の中に、こうした事情で遺産分割協議に参加できない方がいたら、どうしたらよいのでしょうか?
遺産分割協議に参加できない相続人がいる場合は、家庭裁判所に「成年後見人(せいねんこうけんにん)」の選任申し立てをして、その相続人の代わりに遺産分割協議に参加してくれる方を選任してもらう必要があります。
■成年後見人って、どんな人?
成年後見人とは、ご本人の代わりに財産の管理や手続きをしてくれる法的な代理人のことです。
家庭裁判所が選任するため、ご家族や信頼できる知人がなることもありますが、専門家(弁護士や司法書士など)が選ばれることも多くあります。
そして注意したいのは、成年後見人の役目は「相続の手続きが終わってからも続く」ということです。
つまり、相続が終わったあとも、障がいのあるお子さんが亡くなるまで成年後見人が財産を管理し続けることになります。弁護士、司法書士、行政書士などの専門家が成年後見人に選任された場合には、当然ながら成年後見人の報酬もずっと支払い続けなければなりません。
■行政書士の立場からの解決策
将来の手続きがスムーズに、そして何より障がいのあるご家族の生活が安心して続けられるようにするには、「親による備え」がとても大切です。
そのひとつが【遺言書】の作成です。
特に公証役場で作成する遺言書(遺言公正証書)にしておくと、法的にも確実で、万が一の時に、相続手続きをスムーズに進めることができます。
【「困らない相続」がいちばん!】
いかがでしたか?
「いつかは考えないと」と思いながらも、つい後回しになりがちな終活や相続の準備。
でも、親御さんが準備をするだけで、お子さんの未来が安心できるものになります。
✨遺言書は、あなたの想いを未来に届ける魔法です✨
✨エンディングノートは、残される家族を笑顔にする魔法です✨
このテーマで、2024年3月に動画を撮影しています。
動画の後半では、実際に遺言書を作成したご相談者さまへのインタビューもご紹介しています。
ぜひ併せてお役立てください。
https://www.youtube.com/watch?v=v8QfwgUNczw
「わたしのケースではどうすれば?」と思った方は、ぜひお早めに専門家にご相談ください。
「あれ?私の場合はどうなんだろ?」と気になった方へ
このコラムの執筆にあたり、一般社団法人 相続診断協会の「相続診断チェックシート」のチェック項目の一部を参考にさせていただきました。
「相続診断チェックシート」を使えば、ご自身の状況を診断することができます。
30個あるチェック項目に答えるだけで、ご自身の現状がわかり、「このまま何もしないと、何が問題になるのか」をあぶり出すことができます。
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